2013年4月17日水曜日

環境と食料問題の本質

地中生命の驚くべき生態は、地球の窒素循環という経路で大きな役割を担っている窒素固定生物にも見られる。 
微生物から人間まで地球上で生きるすべての細胞が窒素を必要とする。 
しかし、私たちを取り巻く空気の78パーセントは二原子からなる窒素分子=N2ガスなのだが、大気中にこれだけ存在するN2ガスを窒素源として利用できる植物、動物、菌類は地球上にひとつも存在していない。
N2ガスは非常に強力な三重結合で結びついているため、化学的に不活性で、体内で同化することができないのだ。
地中にも窒素はほとんど存在していない。
地球の窒素の99パーセントは大気中のN2ガスとして貯蔵されている。

地球に住む人間やその他の生物がこの窒素を取り込むためには、N2ガスを利用可能な形に変換してくれる「窒素固定細菌」と呼ばれる特殊な原核生物の窒素固定に頼らなければならない。 
この窒素固定細菌だけが、N2ガスをアンモニウムに変えることのできるニトロゲナーゼという酵素を持っている。 
ところが驚いたことに、この酵素は全地球でわずか数キログラムしか存在していない。
ひとつのビーカーに入ってしまうほどの量にすぎないこのニトロゲナーゼを失うと今日の地球の生命は断たれてしまうという。

20世紀初頭、地球上の窒素埋蔵量だけでは急増する人口を支えるだけの十分な肥料を作れないという警告が発せられた。
このことから地中の窒素固定細菌が何十億年間もやってきたN2ガスをアンモニウムに変える研究が始まった。
当時、ドイツには世界に誇る物理学や化学の研究所があり、フリッツ・ハーバーという化学者が量産可能の収量が得られる方法を開発した。
現在ハーバー法で作られる窒素は、窒素固定細菌が固定する窒素を上回っている。
しかしこれは、私たちが地球上の窒素循環に重大なやり方で割り込んでいるということでもある。
つまり、人口の最低三分の一がハーバー法で食物を与えられている一方で、同時にもっとも重大な環境的脅威も生み出してしまっているということである。
硝酸塩などの窒素汚染物質が土壌や空気、水などに過剰に混入してしまっているからだ。

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